本日の一冊/最後の昼餐
2006年 01月 20日
宮脇 檀 根津 りえ / 新潮社
ドキュメンタリーは別としても、建築家を題材にした映画やドラマは
多分つまらないだろう。でも、宮脇さんを主役にしたものなら面白い気がする。
監督は竹中直人、演じるのは田村正和がよさそう。
建築家の宮脇さんは設計した数のみならず著書も多い。
その中でもこの本には建築の話がほとんど出てこない。
ひたすら食べ物、美食の話を中心に、
日々の生活が淡々と楽しく綴られているスケッチエッセイ。
パートナーにスケッチを描いてもらっているところもにくい。
けれどこの本を読むとどうしても涙が出てしまう。
宮脇さんの文章はいつもさらっとしていて軽快だが、その背後には
何かを伝えたいという情熱がいつも見え隠れする。
この本では特にそれを強く感じるからなのかもしれない。
「娘の結婚、還暦、がんの宣告。それでも、人生をより良く楽しむ人でありたい」
「最後の昼餐」の帯にはそう書かれている。
最後の桜のスケッチは楽しく、美しく、ちょっと切ない。
「宮脇檀の住宅設計ノウハウ」が赤版なら、こちらが青版と勝手に決め込んでいる。
学校でもいわれています(笑)。
居住コースでは今でも、生徒たちに慕われていますよ。